Hommage a TOKIO KUMAGAI

パリをデザインの拠点とし、東京コレクションで発表を続けたファッションデザイナーの軌跡をたどります

2008-01-01から1年間の記事一覧

本年はお世話になりました

日照時間が最も短くなる冬至の頃が、パリでは一番寒い季節です。三度目の越冬にしてヨーロッパの冬の厳しさの洗礼を受けています。 本年は私にとって拙ブログを立ち上げたり仕事やプライベートでも色々な動きがあった実りある一年でした。たくさんの方々とこ…

我妻マリさんのWebコラム

登喜夫さんのミューズ・我妻マリさんについては拙ブログでも時々お名前をとりあげさせていただいていますが、その我妻さんが現在ご所属のIPSILON公式サイトにコラム「ファッションモデルとクリエーション」を連載中です。キャリアを通してご自身の目で見て、ご…

Nobu Otsu氏の語る登喜夫さん

Nobu Otsuさんが拙質問状にご回答くださいましたのでご紹介します。 Nobu Otsuさんに関しては拙ブログ3/18で少しご紹介させていただいています。前項でご紹介した'82-'83AW TOKIO by DOMON広告キャンペーンが発掘できたことから、この度お話をおうかがいしま…

’82-’83AW TOKIO by DOMON広告キャンペーン 『MR. ハイファッショ

引き続き『MR.ハイファッション』より、TOKIO by DOMONの広告キャンペーンをご紹介します。 大理石のイメージをベースにランウェイのモノクロ写真をいくつかレイアウトしています。 2/19に記しましたが、TOKIO KUMAGAÏブランドの紙袋や靴箱は大理石プリント…

『MR.ハイファッション』’82年秋号 文化出版局 TOKIO by DOMON ’82

撮影 中村良英/新山徹/梅木則明(敬称略、お三方のいずれか) 前項でご紹介した『MR.ハイファッション』に'82-'83秋冬東京メンズコレクションの特集記事があり、その中にTOKIO by DOMONのランウェイ写真も掲載されています。4/1紹介のdansenの記事からコレ…

『MR. ハイファッション』’82秋号 No. 4 文化出版局

『MR.ハイファッション』は『ハイファッション』の男性版として Quality Men’s Magazine for Adult というサブタイトルのもと1980年〜2003年まで刊行されていました。その後現在は『ハイファッション』がメンズ/レディスを取り扱うようになり融合した形とな…

ブランドイメージを支えた写真家達

6月にイヴ・サン=ローラン Yves Saint-Laurentがお亡くなりになってからFondation(ピエール・ベルジェ、イヴ・サン=ローラン連名のコレクションアーカイヴと展示スペース)で初めて企画されたのが写真家デビッド・セイドナー David SEIDNERの回顧展です…

YouTube

YouTubeという現代を代表するネットメディアにTOKIO KUMAGAÏのランウェイがいつか登場しないかな、と時々のぞきに行っていましたが、つい最近映像2点をお載せになった方がいらっしゃいます。 映像自体のURLをリンクするのは著作権の都合上少々気が引けますの…

毎日新聞1987(昭和62)年9月12日 毎日新聞社 

我妻マリさんのご好意で、第五回毎日ファッション大賞受賞時の毎日新聞紙面コピーが手元に届きました。 著作権法により全文をご紹介できませんが、登喜夫さんご本人の受賞の言葉を、クリエイションの変遷の集大成として引用させていただきます。***** …

TOKIO by DOMON の靴

TOKIO by DOMONブランドの靴を2点、ご紹介します。 おそらく、'83 P/Eの『ギリシャ』コレクションと思われるブラウン色のレザーのグラディエータサンダルと'83-'84A/W『レブルス―反抗―』コレクションのプレーントゥです。 サンダルは足を包む甲に大きな波形…

『アミコの目』鯨岡阿美子 繊研新聞社 ―あなたの服には人間がいた

☆ あなたの服には人間がいた 秋になったら北ヨーロッパに旅行しようときめたのは、この春のことだった。 いつも旅に出る直前に着るものをつくり、満足したためしがない。そこで、夏の間に仮縫いもすませて準備しておいたのに、なんと、肝心の旅に出る時間が…

『アミコの目』鯨岡阿美子 繊研新聞社 ―白と黒はジャズの色

コメントという形でいつも登喜夫さん情報をお寄せくださっているDBさんのおかげで、またひとつ素敵な本をご紹介することができました。 鯨岡阿美子氏が1975〜1987年まで、繊研新聞にご寄稿されたファッションエッセー「アミコの目」「アミコからの提案」を鯨岡さ…

’86PE広告キャンペーン 『MRハイファッション』1986.3 No.21 文化出

見開きの計2ページ、右ページにHOMME DE NUITラインの発表がされています。黒一色のバックにグレーのロゴ、その下にきれいなドレープの、白シルク生地の写真。更にその下にコピーが添えられています。 ***** 今迄 画一的だった夜の装いに 新しい素材 新…

’86PE広告キャンペーン 『X-MEN』1986 3/4 No. 11 spring 流行通信

《クレジット》 Photo : Noboru Morikawa―森川昇氏 Hair : Jacques Moisant Make up : Shoichi Watanabe (N.Y. Project) Model : Zacchari Nathan, Michel Godan, Salvatore Xuereb, Emmanuel Xuereb, Hisako Nakagawa―中川比佐子氏, Larry Leong, Juni Sher…

’85-’86AW広告キャンペーン 『男子専科 dansen』10.1985 スタイル

TOKIO KUMAGAÏ hommeブランド立ち上げの時の広告キャンペーンがどのようなものだったのかはわかりませんが、おそらく立ち上げ後初めての広告キャンペーンではないかと思います。クレジットがないのでどなたがお撮りになったのかがわかりませんが、ランウェイ…

『X-MEN』1986 3/4 No. 11 spring 流行通信社

バリ島取材 BALI Ethnic vibration 特集内エッセイ ☆ バリ、最も天国に近い場所 熊谷登喜夫 バリ島への旅は二度した。最初が12年前、そしてつい先日、去年の暮れから正月にかけて。これまで、アジアでは、インド、ネパール、シンガポールなどかなり旅行した…

『X-MEN』1985 9/10 No. 8 autumn 流行通信社

☆ 熊谷登喜夫のエスノ感覚 TOKIO KUMAGAI ’85 AUTUMN COLLECTION エキゾティックな香りの服 パリ在住のデザイナー、熊谷登喜夫さん。彼のメンズ・コレクションが久しぶりに日本に登場して話題となっている。4月に開かれたファッション・ショーでは、パリのエ…

『X-MEN』1985 7/8 No. 7 mid summer 流行通信社

Little Paradise、New Brand項目に掲載 ☆ 腕のお洒落はまかせなさい。時計の概念を華麗に打ち破る―トキオ・クマガイ・ウォッチ シューズ・デザインやメンズ・コレクションで人気のトキオ・クマガイがセイコーから腕時計を発表。5月10日から全国のセイコー・…

’80年代の伝説の雑誌『X-MEN』をご紹介します

流行通信社(現INFAS)から発刊されていたメンズファッション誌の中でも登喜夫さんの活動時期と重なっていたのが『X-MEN』です。 砂山健氏(故人)が編集長を務め、隔月刊誌として’84年夏創刊された最初の1年間は登喜夫さんの親友でもいらっしゃった画家の…

靴のクリエイティヴィティ i デコンストラクテ

モチーフシリーズ(クリエイティヴィティ b)のユーモアさもさることながら、登喜夫さんは『未完成』『非構築』のエッセンスを加えたピースもたくさんデザインしました。 つま先の革がめくれ上がっているようにデザインされたシリーズはパンプスやサンダルと…

靴のクリエイティヴィティ h メッシュ

今でこそボッテガヴェネタ Bottega Venetaを筆頭にプレステージブランドがこぞってテクニックを競ったさまざまなメッシュ使いアイテムを目にするようになりましたが、’80年代、私にとってメッシュの靴は自営業の中年男性が履いているというイメージがありま…

『03 Tokyo calling』3.1990 No.4 新潮社 (後)

(前・後編の区切りはnamourOKによる) しかし、なぜガイドなのか。渡仏当時、まず何より言葉を覚えなくてはと頑張ったおかげで言葉には少し自信があるから、というのが彼の語った理由だが、それはあくまでも表層の理由であって、深部には彼が言語化しなかっ…

『03 Tokyo calling』3.1990 No.4 新潮社 (前)

登喜夫さん没後、まだブランドが存続していた頃に発表された、ご親友で詩人の高橋睦郎氏のエッセイです。 高橋睦郎さんは郷里の福岡で処女作『ミノ・あたしの雌牛』を発表後上京、グラフィックデザイナの故亀倉雄策氏主宰の日本デザインセンターに在籍された…

靴のクリエイティヴィティ g ジップ/ジッパー

ゴム(クリエイティヴィティ d)同様、実用面で靴に取り入れられたジップをデザインに昇華させた先駆者が登喜夫さんです。 ジップを使ったピースは、デザインもシンプルながらハラコやエナメルなど高級感の素材と組み合わせる事で巧みに意外性を盛り込んでいま…

靴のクリエイティヴィティ f カット

どうすれば足を綺麗に見せられるだろうか、という命題に対しての登喜夫さんの答えの一つが、(足入れの)カットだったのではないでしょうか。 足入れからつま先にかけて滴の形にカットされたローファー、足の内側・土踏まずに向かってサンダルのようにサイド…

靴のクリエイティヴィティ e フォルム

靴をイメージするとき、どんな形をイメージしますか?ローカット、ハイカット、サンダル・・・ 登喜夫さんはフォルムにも新しさを求めてデザインをしていました。長くとった折り返しで未来的な印象を持たせたブーツ、ピーターパンの靴のようにカットレザーを…

靴のクリエイティヴィティ d ゴム

ゴムが使われている靴というと学校の上履きかサイドゴアタイプの靴を容易にイメージします。サイドゴアブーツが登場したのは1836年(『靴と足の豆知識』http://www.yoikutu.com/newpage29.html より)。 ’83−’84秋冬コレクション以降、登喜夫さんはゴムを実用…

靴のクリエイティヴィティ c アートシリーズ

どの靴もアート的な感覚に溢れている登喜夫さんの靴ですが、なかでも初期(’82〜’84)には、絵画もしくは画家にインスピレーションされたデザインが目を引きます。ピエト・モンドリアン Piet Mondriaan、ジャン・コクトー Jean Cocteau、ソニア・デロネー Soni…

靴のクリエイティヴィティ b モチーフシリーズ

TOKIO KUMAGAÏの靴といえばまずネズミのパンプス、というほどシューズデザインに衝撃を与えたシリーズです。この成功により登喜夫さんはユーモアを靴に盛り込むクリエイタとして大きく評価されました。’83−’84秋冬コレクションで最初に発表されたのちも動物…

靴のクリエイティヴィティ a 素材

少しずつではありますが、登喜夫さんの靴のクリエイションについてご紹介していこうと思います。現在では特別なデザイン手法ではないかもしれませんが、登喜夫さんが初めてシューズデザインに取り入れたアイディアもあります。もちろん、デザインを形にする…