Hommage a TOKIO KUMAGAI

パリをデザインの拠点とし、東京コレクションで発表を続けたファッションデザイナーの軌跡をたどります

靴のクリエイティヴィティ a 素材

computer_printed_leather_pump

 少しずつではありますが、登喜夫さんの靴のクリエイションについてご紹介していこうと思います。現在では特別なデザイン手法ではないかもしれませんが、登喜夫さんが初めてシューズデザインに取り入れたアイディアもあります。もちろん、デザインを形にする確かな技術と履き心地を両立させるために製造を担当したイタリアHeresco社のたゆまない努力もはかりしれません。
 TOKIO KUMAGAÏの靴はすべて厳選された上質な素材でつくられていました。フリー時代にパリとミラノを行き来する生活を数年間続けた登喜夫さんは素材に対する審美眼を養い、自身のクリエイションのクオリティに昇華させていらしたことでしょう。カーフ、ヘビ、アザラシ、オーストリッチ・・・これらの高級素材を使いながらデザイン性に溢れたオリジナルシューズを産み出していたのはブランドの大きな強みでした。
 ‘81春夏〜’82春夏には、ハンドペインティングを施した革を使ったピースがあります。のちのコレクションにはハンドペインティング以外にもプリント技術を駆使した革も用いられました。
 服のコレクションとともに、オリジナル生地を用いた靴が登場し、トータルルックも提案しました。
画像(出典:Deutsches Ledermuseum/Schuhmuseum Offenbach Nederlands Leder- en Schoenenmuseum Waalwijk, TOKIO KUMAGAÏ schoenen 展図録)
(上・小):’84 P/E コンピュータプリントのパンプス(P. 66)
(下・大):’82 P/E ハンドペインティング(大理石)のパンプス(P. 35)